宿主さんのためのGoogle Analytics 4入門|予約につながるサイト改善の始め方

宿サイトを訪れた人が客室、館内、アクセスのページを見て予約入口へ進む流れを宿主が確認するイラスト SEO・継続運用

宿のホームページへ来た人が、どのページを読み、予約案内まで進んだのか。これを把握するためのアクセス解析ツールがGoogle Analytics 4(GA4)です。

数字を細かく集めることが目的ではありません。宿泊を考えている人が途中で迷っていないか、スマートフォンで必要な案内を見つけられるかを確認し、サイトを分かりやすくするために使います。

この記事では、専門のWeb担当者がいない宿を想定し、アカウント管理、WordPressへの導入、計測確認、月1回の見直しまでを順番に説明します。

GA4で分かること

基本的な設定では、次のような傾向を確認できます。

  • サイトを訪れた利用者数
  • 閲覧されたページと回数
  • 検索、SNS、他サイトなどの訪問経路
  • スマートフォンやパソコンなどの端末区分
  • ページ閲覧や外部リンクのクリックなどのイベント
  • 予約ページへ進んだ回数など、自分で定めた重要な行動

GA4の利用者数と実際の宿泊者数は一致しません。同じ人が複数端末を使ったり、計測を拒否したり、ブラウザの制限で記録されなかったりします。「正確な個人の追跡」ではなく、サイト全体の傾向を見る道具として扱います。

Search Consoleとの違い

ツール 主な役割
Google Search Console Google検索で表示され、クリックされるまでを確認する
Google Analytics 4 検索やSNSなどからサイトへ来た後の行動を確認する

「地域名+猫がいる宿」で表示されたかはSearch Console、その人が客室や予約方法を読んだかはGA4で見ます。Google Search Console入門と組み合わせると、検索前後を分けて考えられます。

導入前に決める三つのこと

1. 宿が管理できるGoogleアカウント

制作会社や一時的な担当者の個人アカウントだけを管理者にすると、契約終了後に設定や過去データへアクセスできなくなるおそれがあります。

  • 宿が継続管理できるGoogleアカウントを用意する
  • 宿側のアカウントを管理者として維持する
  • 制作会社や担当者は、それぞれのGoogleアカウントで追加する
  • パスワードを共有しない
  • Googleアカウントの2段階認証と復旧手段を用意する

GA4には管理者、編集者、アナリスト、閲覧者という役割があります。レポートを見るだけの人へ、設定変更ができる管理者権限を渡す必要はありません。

2. 何を改善したいか

目的を決めずに入れると、数字を眺めるだけになります。最初は一つか二つで十分です。

  • 客室ページから予約方法へ進めているか
  • スマートフォンでアクセス案内を見つけられるか
  • 猫との過ごし方の記事から宿の基本情報へ進めているか
  • 自社予約と予約サイトのどちらへ進んでいるか

3. プライバシーの説明

どの計測機能を使い、どのように知らせ、同意や拒否を扱うべきかは、利用地域、設定、広告機能、外部サービスによって変わります。プライバシーポリシーとCookie等の案内を確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。具体的な棚卸しとテストは宿サイトのCookie同意とプライバシー案内で説明しています。

個人情報をGA4へ送らない

Googleは、個人を特定できる情報をAnalyticsへ送信しないよう求めています。宿サイトでは、予約や問い合わせで氏名、メールアドレス、電話番号を扱うため、特に注意が必要です。

次の情報をページURL、ページタイトル、イベント名、イベントの追加情報、キャンペーン用URLへ含めません。

  • 宿泊者や問い合わせ者の氏名
  • メールアドレス
  • 電話番号
  • 予約番号や会員番号など、個人と結び付く識別子
  • フォームへ入力された自由記述
  • 正確な住所や細かな位置情報

たとえば、予約完了ページのURLが/thanks/?email=...のようになっていると、そのURLが計測へ送られるおそれがあります。GA4を導入する前に、予約・問い合わせ完了ページのURLへ個人情報が入らないことを確認します。

予約システムや決済サービスの管理画面にある個人情報を、GA4へ取り込む必要はありません。「予約完了」という行動の回数だけで目的を満たせないかを先に考えます。

1. GA4のアカウントとプロパティを作る

Google Analyticsを宿のGoogleアカウントで開きます。

GA4では、おおむね次の階層で管理します。

アカウント
└── プロパティ
    └── ウェブデータストリーム

小さな宿で一つのWebサイトを運営するなら、宿または事業者のアカウントの中へ、宿サイト用プロパティを作る考え方が分かりやすいでしょう。プロパティ作成時のタイムゾーンと通貨は、後の集計に関わるため実際の営業に合わせます。

ウェブデータストリームには、サイトの正式なHTTPS URLと分かりやすい名前を設定します。作成すると、G-から始まる測定IDが表示されます。

2. WordPressへGoogleタグを一つの方法で導入する

WordPressへの導入方法には、主に次の選択肢があります。

  • 使用中のテーマや公式連携機能へ測定IDを設定する
  • 用途を理解したうえでWordPressプラグインを使う
  • Google Tag Managerで管理する
  • 制作会社がテーマへGoogleタグを設置する

Google公式の案内には、WordPress向けの選択肢としてSite KitやMonsterInsightsなども掲載されています。ただし、すべての宿へ同じプラグインが最適とは限りません。既存テーマとの相性、権限、更新状況、追加される機能、プライバシー設定を確認します。

重複設置に注意する

テーマ、プラグイン、Google Tag Managerへ同じ測定IDを重ねて設定すると、同じ閲覧が複数回記録される場合があります。

「昔の制作会社がタグを設置していたが、分からないので別のプラグインも入れる」という進め方は避けます。現在どの方法でタグが入っているかを確認し、管理方法を一つに決めます。

テーマのファイルへ直接コードを貼る方法は、更新で消えたり記述を壊したりする可能性があります。自分で保守できない場合は、公式連携または管理担当者へ相談してください。

3. 計測できているか確認する

設置後は自分でサイトを開き、GA4のリアルタイムレポートで訪問が表示されるか確認します。基本的なデータ収集は開始まで最大30分程度、通常レポートへの処理は最大24時間程度かかる場合があるとGoogleは案内しています。

確認時は次を見ます。

  • 正しいプロパティを開いている
  • 測定IDがWordPress側と一致している
  • トップページだけでなく記事や客室ページでも計測される
  • タグを二つの方法で重複設置していない
  • Cookie同意の選択によって想定どおり動く
  • 管理者として閲覧した自分のアクセスをどう扱うか決めている

データが出ないからといって、タグを何度も追加しません。反映時間、Cookie設定、キャッシュ、広告ブロック、タグの設置場所を順に確認します。

宿主さん、スタッフ、制作会社の確認閲覧が数字へ大きく影響する場合は、GA4から運営側のアクセスを除外する方法で、宿泊者用Wi-Fiを巻き込まずにテストする手順を確認してください。

最初に見る指標

GA4には多くの項目がありますが、宿主さんが最初に見るものは絞れます。

ユーザーとセッション

ユーザーはサイトを利用した人の推計、セッションは一連の訪問を表します。実人数や宿泊者名簿ではありません。増減の傾向を見るために使います。

ページとスクリーン

よく見られているページを確認できます。トップページだけでなく、客室、料金、アクセス、猫との過ごし方、予約方法などが読まれているかを見ます。

閲覧数が少ないページが不要とは限りません。「駐車場」「キャンセル規定」など、予約直前の少人数へ必要な情報もあります。

集客

Google検索、SNS、他サイト、直接訪問など、どの経路から来たかを確認します。経路の分類は完全ではないため、数件単位の違いを断定せず、大きな傾向として読みます。

ランディングページ

訪問の入口になったページです。ブログ記事が入口なら、そこから宿の基本情報や予約方法へ進める内部リンクがあるか確認します。

イベント

GA4は、ページ閲覧やクリックなどの行動をイベントとして扱います。初めから大量の独自イベントを作らず、何を判断するための計測かを決めます。

宿サイトで設定を検討する重要な行動

GA4では、事業上重要なイベントを「キーイベント」として指定できます。以前の説明で「コンバージョン」と呼ばれていた考え方に近いものです。

宿サイトでは、次の候補があります。

  • 予約ページへ進むボタンのクリック
  • 電話をかけるリンクのクリック
  • 問い合わせ送信の完了
  • 自社予約システムでの予約完了

ただし、「予約ボタンを押した」と「予約が成立した」は別です。外部予約サイトへ移動した後を計測できなければ、クリックまでしか分かりません。予約完了を計測する場合も、予約者名や予約番号をGA4へ送らない構成にします。

最初は「予約案内ページを見た」「外部予約ページへ進んだ」など、正しく確認できる行動を一つ選びます。

予約ボタン、電話、問い合わせを実際に設定するときの考え方と確認手順は、宿サイトの予約ボタンをGA4で計測する方法で詳しく説明しています。

月1回、30分の見直し方法

  1. 前月と過去3か月の利用者・セッションを見る
  2. よく見られたランディングページを5件確認する
  3. スマートフォン利用が多いか確認する
  4. 予約案内へ進んだ回数を見る
  5. 入口ページから予約・アクセス情報へ進めるか実際に操作する
  6. 分かりにくいページを一つだけ修正する
  7. 変更日、理由、確認した指標を記録する
  8. 翌月に同じ条件で比較する

季節、休館、メディア掲載、イベントなどで数字は変動します。一か月下がっただけで記事を削除したり、設備にない内容を検索対策として追加したりしません。

AIへ相談するときのコピペ用プロンプト

AIへGA4の管理者権限やGoogleアカウントのパスワードを渡さなくても、期間と項目を絞ったCSVから改善案を考えられます。書き出した内容に個人情報や非公開の売上情報がないか、人が先に確認してください。

GA4から書き出した集計表を使って、宿サイトの改善候補を整理してください。

目的:
- よく使われる入口ページを確認する
- 予約案内へ進みにくい可能性があるページを探す
- スマートフォンで優先して確認すべきページを選ぶ

条件:
- 個人を特定しようとしない
- 実際の予約成立数だと断定しない
- 少ない件数から強い結論を出さない
- サイトやGA4の設定変更は行わない
- 根拠となる行、考えられる理由、確認方法を分けて示す

導入・運用チェックリスト

  • 宿が継続管理できるGoogleアカウントを管理者にした
  • 制作会社や担当者を個別アカウントで追加した
  • 目的に応じて最小限の権限を設定した
  • プライバシーポリシーとCookie等の案内を確認した
  • URLやイベントへ氏名、メール、電話番号、予約番号を入れていない
  • 予約・問い合わせフォームの送信内容をGA4へ渡していない
  • タグの設置方法を一つにした
  • リアルタイムレポートでページ閲覧を確認した
  • 二重計測がないか確認した
  • キーイベントの意味を運用記録へ残した
  • 月1回、一つの改善を記録して比較する

まとめ

GA4は、宿サイトへ来た人がどのページを通り、予約案内へ進んだかを大きな傾向として確認する道具です。宿名義の管理者を維持し、タグを一つの方法で設置し、リアルタイムレポートで動作を確かめます。

最も重要なのは、宿泊者の個人情報をGA4へ送らないことです。集められる情報をすべて集めるのではなく、サイトを分かりやすくするために必要な計測だけを選びましょう。

参考資料

※画面名、計測仕様、法令上必要な対応は変わることがあります。導入時はGoogle公式情報を確認し、プライバシー対応に迷う場合は専門家へ相談してください。

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