猫には、一般に触れられやすい傾向のある場所と、反応の個体差が大きい場所があります。しかし体の地図だけを覚えても、その猫が今触られたいかは分かりません。
猫宿では、宿の許可、猫からの接近、全身の様子を先に確認し、触れる場合も短く始めます。
最初は頬や耳の付け根周辺
AAFP/ISFMのガイドラインでは、頭と首、とくに顔の臭腺周辺が好まれやすい接触部位として紹介されています。
猫が自分から頬や頭を手へ寄せ、宿が触れ合いを認めている場合は、頬、耳の付け根、あご周辺を毛並みに沿って一度か二度、静かに触ります。頭上から手を振り下ろさず、猫の視界へゆっくり入れます。
「好まれやすい」は全猫共通ではない
頬を好む猫でも、初対面の人、眠い時間、体調が優れない日には触られたくない場合があります。過去に同じ猫を撫でられたことも、今日の許可にはなりません。
触れる前に猫の触っていいサインを確認し、猫が来なければ手を出しません。
腹は見えていても触らない
猫がお腹を見せて横になることは、安心している可能性を示しても、腹を撫でてほしい依頼とは限りません。腹は重要な器官を守る場所で、急に触ると防御的な反応につながることがあります。
初対面では腹へ手を伸ばさず、寝姿をそのまま見守ります。写真のために体勢を変えたり、前足を持ち上げたりもしません。
しっぽの付け根は慎重にする
しっぽの付け根を撫でると腰を上げる猫もいますが、快適さだけを意味するとは限りません。研究では、尾側の部位への接触で否定的な行動反応が増える傾向も報告されています。
猫宿で初対面の猫へ試す場所にはせず、宿から個別に案内がある場合も猫の反応を見て短くします。
脚、足先、しっぽを持たない
脚、足先、しっぽは、猫が動きや距離を調整するために必要です。触れるだけでなく、押さえる、持ち上げる、肉球を見るために返す行動も避けます。
猫が膝へ乗り、爪が衣類へ引っ掛かった場合も、足を引っ張らず宿スタッフへ相談してください。
背中は猫ごとの差が大きい
頭からしっぽまで長く撫でる触り方は一般的ですが、背中や脇腹への反応には個体差があります。皮膚が波打つ、しっぽが動く、急に手を見るといった変化があれば止めます。
最初から全身を一気に撫でず、頬周辺から短く始める方が変化へ気づきやすくなります。
3〜5秒で手を止める
人と猫の交流指針を検証した研究では、数秒ごとに手を止め、猫が再び接触を求めるか確認する方法が使われました。
- 猫が自分から近づくのを待つ
- 頬周辺を短く触る
- 手を離す
- 猫が寄せ直すかを見る
- 離れる、固まる、手を見るなら終了する
回数を決めて撫で切るのではなく、毎回猫へ終了の機会を返します。
撫でる強さと方向
指先で細かくこするより、力を抜いた指や手の甲側を使い、毛並みに沿ってゆっくり触れます。毛を逆立てる、皮膚をつまむ、両手で顔を挟むことは避けます。
猫が体を強く押し付けても、力を強めてほしいとは限りません。人の側は同じ弱い力を保ちます。
触らずに終える判断
宿が触れ合いを許可していても、猫が眠る、食べる、隠れる、離れるときは触りません。触れられる場所を知ることより、触らない場面を選べることの方が重要です。
猫が離れたときの接し方もあわせてご覧ください。
まとめ
初対面では頬や耳の付け根周辺が比較的受け入れられやすい傾向がありますが、猫ごとの好みとその時の状態が優先です。腹、脚、しっぽ、尾の付け根を避け、短く触って止める。猫が続けるかを選べる触れ方にしましょう。
参考資料
- 2022 AAFP/ISFM Cat Friendly Veterinary Interaction Guidelines
- Practical human–cat interaction guidelines study
- AAFP/ISFM Feline Environmental Needs Guidelines
※痛みや健康状態によって反応が変わる場合があります。異変を感じたら触って確かめず宿スタッフへ伝えてください。

