猫宿で看板猫から近づいてくると、歓迎されたようでうれしくなります。しかし「近づく」という行動だけでは、触ってほしい、抱っこしてほしいという意味まで決まりません。
猫は、人を確認する、通り道を歩く、荷物の匂いを嗅ぐ、いつもの場所へ向かうといった理由でも近づきます。最初の挨拶は、何かをするより、猫の次の選択を待つことから始めましょう。
その場で動きを止める
猫がこちらへ歩いてきたら、立ち上がったり、両手を伸ばしたりせず、動きを小さくします。歩いている途中なら立ち止まり、猫の進行方向から半歩よけます。
猫が人の足元を通ることもあります。踏まないよう確認しながら、追いかけず、体の向きを少し斜めにします。
通り道と逃げ道を残す
人と家具の間へ猫を挟まず、廊下や出入口を空けます。写真を撮るために壁際へ誘導したり、同行者と囲んだりしません。
猫が近づいた後にすぐ離れても、交流が失敗したわけではありません。確認を終えて自分の目的地へ向かっただけかもしれません。
まず匂いの確認を待つ
猫は靴、裾、手、バッグなどの匂いを確認する場合があります。このとき、顔へ指を押し付けず、荷物を開けて見せず、静止します。
香水、他の動物、食べ物の匂いに反応している可能性もありますが、理由を一つに決めつけません。猫が宿泊客の匂いを嗅ぐときの接し方で詳しく説明しています。
体をこすりつけても触る前に確認する
猫が脚や手へ頬、頭、体をこすりつけることがあります。親和的な行動である場合がありますが、どこを何回触ってもよい許可とは考えません。
宿が触れ合いを認めているか確認し、猫がその場に留まっている場合は、頬や耳の付け根付近を毛並みに沿って短く触ります。腹、脚、しっぽ、しっぽの付け根へ急に手を伸ばしません。
AAFP/ISFMの環境ニーズガイドラインは、猫に交流の開始、程度、終了を選ばせ、頭や頬周辺を穏やかに触れることを勧めています。
3〜5秒ごとに手を止める
触れ始めたら、短い間隔で手を止めます。猫が再び頬を寄せる、近くに留まるなら、もう一度短く触れます。向きを変える、離れる、手を見張るなら終わりです。
人と猫の交流方法を調べた研究では、猫に選択と制御を与え、数秒ごとに休止して反応を確認する指針が、より親和的な行動と関連しました。
一回の反応だけで性格を決めず、その都度確認します。
膝へ乗ってきた場合
猫が自分から膝へ乗っても、抱き締めたり腕で囲んだりしません。立つ必要があるときは、急に持ち上げず宿スタッフへ相談します。
衣類のひも、アクセサリー、イヤホンなどを猫が口にしないよう事前に収納します。爪が引っ掛かった場合も、手足を強く引かず、猫と布地を傷つけない方法をスタッフへ尋ねます。
鳴いても要求を断定しない
鳴きながら近づく猫もいます。食べ物が欲しい、触ってほしい、ドアを開けてほしいと勝手に解釈しません。
猫用おやつを与える、閉じた扉を開ける、屋外へ出すといった行動は、宿の管理に関わります。猫が繰り返し鳴く、何かを訴えているように見える場合は、スタッフへそのまま伝えます。
猫が離れたら見送る
猫が一歩離れた、顔を背けた、別の場所へ向かったら追いません。名前を呼び続けたり、先回りしたり、触るために再び手を出したりしないでください。
交流を猫が終えられることは、次に近づくかどうかを猫自身が選べる環境につながります。触っていいサインとそっとしてほしいサインも全身の変化を見る参考になります。
写真は挨拶が終わってから
猫が近づいた瞬間にスマートフォンを顔の前へ出すと、猫の進路をふさぐことがあります。まず猫の行動を見て、安全な距離へ落ち着いてから撮影します。
フラッシュ、シャッター音、他の宿泊客の映り込みについては宿の規則を確認してください。猫宿での写真撮影マナーもご覧ください。
まとめ
猫から近づいてきたときの挨拶は、動きを止め、通り道を残し、匂いの確認を待つことから始まります。こすりつけても短く触れ、途中で手を止め、猫が離れたら終える。「近づいた」を万能な許可にしないことが大切です。
自分から猫へ近づきたい場合は、先に初対面の猫へ近づく基本を確認してください。
参考資料
- 2022 AAFP/ISFM Cat Friendly Veterinary Interaction Guidelines
- AAFP/ISFM Feline Environmental Needs Guidelines
- Practical human–cat interaction guidelines study
※猫ごとの触れ合い方と館内規則は異なります。宿スタッフの案内を優先してください。

