宿のホームページを公開しても、「どんな言葉で検索されたのか」「Googleに記事が登録されているか」は、WordPressの管理画面だけでは分かりません。それを確認する無料の公式ツールがGoogle Search Consoleです。
この記事では、初めて使う宿主さんに向けて、宿名義で管理を始め、見る数字を絞り、記事や宿案内の改善へつなげる方法を説明します。
Search Consoleで分かること
Search Consoleでは、主にGoogle検索でのサイトの状態を確認できます。
- どんな検索語句で宿サイトが表示されたか
- 検索結果に表示された回数とクリックされた回数
- どのページが検索から読まれているか
- Googleがページを登録できているか
- サイトマップをGoogleが読み取れたか
- 検索上の問題や手動による対策などの通知
導入しただけで検索順位が上がるものではありません。宿泊を検討する人が何を知りたがっているかを見つけ、サイトを改善するための計器です。
Google Analyticsとの違い
| ツール | 主に分かること |
|---|---|
| Google Search Console | Google検索で表示されるまでと、検索結果からクリックされるまで |
| Google Analytics 4 | サイトへ来た後に、どのページを見たか、どの経路から来たか |
たとえば「猫がいる宿 ○○県」という検索で表示されたかはSearch Console、訪問後に客室や予約案内を読んだかはGoogle Analytics 4で確認します。まずSearch Consoleだけを導入しても問題ありません。訪問後の見方はGoogle Analytics 4入門で解説しています。
最初に宿名義のGoogleアカウントを決める
制作会社や一時的な担当者の個人アカウントだけで始めると、契約終了や退職後にデータを見られなくなるおそれがあります。
次の方針を先に決めます。
- 宿が継続して管理できるGoogleアカウントを用意する
- そのアカウントを確認済み所有者として維持する
- 担当者には必要な範囲の権限を個別に付ける
- パスワードを共有せず、それぞれのGoogleアカウントを追加する
- Googleアカウントの2段階認証と復旧方法を整える
- 誰が所有者かを運用記録へ残す
Search Consoleの「所有者」は、利用者の追加や削除を含む強い権限を持ちます。閲覧や一部の作業だけなら「フルユーザー」または「制限付きユーザー」で足りることがあります。
1. Search Consoleへサイトを追加する
Google Search Consoleを開き、宿が管理するGoogleアカウントでログインします。「プロパティを追加」すると、主に二つの方式が表示されます。
ドメインプロパティ
example.comのようにドメイン名を登録します。wwwの有無やHTTP・HTTPS、サブドメインをまとめて確認できます。Googleは、適切な場合にはドメインプロパティを一般に推奨しています。
ただし、所有権確認にはDNS設定が必要です。ドメインを管理している会社の画面でTXTレコードなどを追加します。
URLプレフィックスプロパティ
`https://www.example.com/`のように、URLの先頭を指定します。指定した方式・ホスト名に一致するURLだけが対象です。確認方法はHTMLファイル、HTMLタグ、Google Analyticsなど複数あります。
どちらか分からない場合は、まず「ドメインをどの会社で契約し、DNSを誰が管理しているか」を調べます。DNSはメールにも関係する重要な設定です。意味の分からない既存レコードを削除せず、レンタルサーバー会社または管理担当者の公式手順に従ってください。
2. 所有権を確認する
所有権確認は、そのサイトを本当に管理していることをGoogleへ証明する手続きです。検索データは公開情報ではないため、確認が必要です。
ドメインプロパティでは、Search Consoleが示す確認用レコードをDNSへ追加します。反映には時間がかかる場合があります。確認できた後も、確認用レコードをすぐ削除しないでください。Googleは継続的に確認し、トークンが失われると権限が期限切れになることがあります。
一つの方法が消えた場合に備え、宿が管理できる複数の確認方法または複数の確認済み所有者を検討します。ただし、不要な所有者を増やさず、定期的に一覧を見直します。
3. サイトマップを送信する
サイトマップは、公開しているページの場所を検索エンジンへ伝えるファイルです。WordPressやSEOプラグインが自動生成している場合があります。
まずブラウザでサイトマップURLを開き、エラーにならないことを確認します。例は次のような形式ですが、実際のURLはサイトによって異なります。
https://example.com/wp-sitemap.xml
![]()
Example Domain
Search Consoleの「サイトマップ」でURLを送信します。送信は掲載順位を保証するものではなく、Googleへ場所を知らせ、読み取り状況を確認しやすくするものです。
サイトマップへ不要なタグ一覧や管理用ページが含まれている場合、送信前にWordPress側の公開方針を確認します。Search Consoleだけで記事の公開・非公開を決めるわけではありません。
4. 最初の数日はデータを待つ
プロパティを追加しても、すぐに十分な数字が出るとは限りません。Google公式では、データが表示され始めるまで数日かかる場合があると案内しています。
データがないときは、設定を何度も変更する前に次を確認します。
- 正しいドメインまたはURLを登録したか
- URLプレフィックスで
httpとhttps、wwwの有無を間違えていないか - サイトが一般公開されているか
- Google検索でまだほとんど表示されていない新しいサイトではないか
最初に見る四つの数字
「検索パフォーマンス」では、まず次の四つだけを理解すれば十分です。
クリック数
Google検索から宿サイトへのリンクがクリックされた回数です。予約数ではありません。
表示回数
宿サイトへのリンクが検索結果で表示された回数です。必ず画面内でじっくり見られた回数、という意味ではありません。
CTR
表示されたうち、クリックされた割合です。おおむね「クリック数 ÷ 表示回数」で考えます。検索順位、宿名の知名度、タイトル、検索意図などの影響を受けるため、サイト全体の数字だけで良し悪しを決めません。
掲載順位
検索結果における最上位の掲載位置を基にした平均値です。同じ人がいつも同じ順位を見るという意味ではありません。地域、端末、検索語句、検索結果の種類などで変わります。
順位だけを毎日追うより、検索語句とページを組み合わせて読みます。
宿サイトで役立つ見方
宿名で検索した人が公式情報へ到達できているか
宿名、旧名称、表記ゆれで検索し、公式ページが表示・クリックされているか確認します。宿名で探している人が予約サイトや古い情報だけへ流れているなら、タイトルや基本情報を見直します。
地域と目的を組み合わせた需要を探す
「地域名 猫がいる宿」「猫 宿泊 ふれあい」「看板猫 旅館」など、実際に表示された語句を確認します。Search Consoleに出ていない言葉を想像だけで増やすのではなく、宿の特徴と検索者の質問が一致する記事を考えます。
表示されるのにクリックされないページを見直す
表示回数があるのにクリックが少ない場合、ページのタイトルと説明が検索者の疑問へ答えているか確認します。ただし、すべての検索で高いCTRを目指す必要はありません。検索語句とページの内容がずれている場合は、無理にクリックを誘わず内容を明確にします。
以前より下がったページを確認する
期間比較を使い、クリックや表示回数が大きく変わったページを探します。季節、休館情報、地域イベント、検索需要の変化、技術的な問題など複数の理由があります。一つの数字だけで記事を削除しません。
URL検査の使い方
新しい記事や更新したページは、URL検査でGoogleが把握している状態を確認できます。登録されていなければ、公開ページであること、noindexやクロール拒否がないこと、サイト内からリンクされていることを確認します。
必要に応じてインデックス登録をリクエストできますが、送信しても登録や上位表示は保証されません。大量のURLは一件ずつ繰り返さず、サイトマップと内部リンクを整えます。
主要記事が未登録のままの場合は、Search Consoleで記事がインデックス未登録のときの調べ方で、公開状態、noindex、robots.txt、canonical、内部リンクを順に確認してください。
月1回、30分の確認で十分
小さな宿なら、毎日数字を見るより月1回の記録から始められます。
- 前月と過去3か月のクリック・表示回数を見る
- 増えた検索語句と減った検索語句を各5件確認する
- よく表示されたページを確認する
- 表示されるのに内容が合っていないページを一つ選ぶ
- タイトル、冒頭、営業時間、料金、アクセスなどを必要な範囲で直す
- 変更日と理由を記録する
- 翌月に同じ条件で比較する
一度に多数の記事を書き換えると、何が影響したか分かりにくくなります。宿泊者にとって内容が正確で分かりやすくなる変更を、一つずつ積み重ねます。
検索語と表示ページを組み合わせて、既存ページを一つずつ直す具体的な手順は、Search Consoleの検索語から宿サイトを改善する方法で説明しています。
AIへ相談するときのコピペ用プロンプト
Search Consoleから書き出した表には検索語句やURLが含まれます。宿泊者の個人情報は通常含まれませんが、宿の未公開情報やGoogleアカウントの認証情報は渡さないでください。
Search Consoleの検索パフォーマンスを使って、
宿サイトの改善候補を整理してください。
目的:
- 表示回数が増えている検索語句を見つける
- 表示されているのにページ内容と検索意図がずれている候補を探す
- 既存記事の修正と、新規記事の候補を分ける
条件:
- 順位上昇を保証しない
- 実際の宿の設備やサービスを推測しない
- 変更は行わず、根拠となる行と改善案だけを示す
- 宿名、URL、検索語句以外の秘密情報は表示しない
AIに直接Search Consoleの所有者権限を渡す必要はありません。まず期間と列を絞ってCSVなどを書き出し、人が内容を確認してから相談します。
導入・運用チェックリスト
- 宿が継続管理できるGoogleアカウントを所有者にした
- Googleアカウントに2段階認証と復旧手段を設定した
- ドメインとDNSの管理会社を記録した
- 正しいプロパティ種別を選んだ
- 所有権確認用のトークンを誤って削除しない運用にした
- 制作会社や担当者は個人別アカウントで追加した
- サイトマップが開くことを確認して送信した
- 検索データが出るまで数日待った
- 月1回、検索語句とページをセットで確認する
- 変更内容と日付を記録する
まとめ
Search Consoleは、Google検索で宿がどのように見つけられているかを知るための道具です。最初に宿名義の所有権と引き継ぎ方法を整え、サイトマップを送り、クリック数・表示回数・CTR・掲載順位を検索語句とページの組み合わせで確認します。
数字を増やすことだけを目的にせず、検索した人が知りたい営業情報、猫との過ごし方、客室、アクセス、予約方法へ迷わず到達できるように改善してください。
参考資料
- Google Search Consoleヘルプ:Search Consoleスタートガイド
- Google Search Consoleヘルプ:プロパティを追加する
- Google Search Consoleヘルプ:サイトの所有権を確認する
- Google Search Consoleヘルプ:所有者、ユーザー、権限を管理する
- Google Search Consoleヘルプ:サイトマップレポート
- Google Search Consoleヘルプ:表示回数、掲載順位、クリック数
※画面名や仕様は変更されることがあります。導入時はGoogleと契約先の公式情報を確認してください。

