公式サイトでは「朝食付き」、OTAでは「食事なし」。公式サイトの駐車場は無料、別の予約サイトでは有料。こうした食い違いは、宿泊者の不安や現地でのトラブルにつながります。
複数の販売先を持つ宿では、同じ内容を何度も手入力するため、更新漏れを完全にゼロにするのは簡単ではありません。大切なのは、どの情報を正本にし、変更時にどの媒体を確認するかを決めることです。
結論:在庫同期だけでは案内は一致しない
サイトコントローラーを導入していても、すべての情報が自動で揃うとは限りません。
| 情報 | 自動連携される可能性 | 人の照合が必要になりやすいもの |
|---|---|---|
| 在庫 | 高い | 部屋止め、電話予約、同期障害 |
| 料金 | 構成による | 税・追加費用、表示単位、会員価格 |
| プラン | 構成による | 説明文、特典、販売期間、写真 |
| 予約変更・取消 | 構成による | 一部変更、返金、通知漏れ |
| 客室・設備 | 低い場合が多い | 定員、寝具、風呂、改装内容 |
| 食事・子ども条件 | 低い場合が多い | 年齢区分、アレルギー、提供場所 |
| アクセス・送迎 | 低い | 時刻、予約期限、季節運休 |
| 看板猫情報 | 通常は連携しない | 在籍、休養、会える場所、ルール |
「在庫が同期されている」ことと「宿泊者が読む案内が一致している」ことを分けて確認します。
食い違いが起きる主な理由
更新する画面が多い
公式サイト、公式予約システム、OTA、Googleビジネスプロフィール、SNS、紙の案内へ同じ情報が分散しています。一か所を直して完了したつもりになりやすい状態です。
Google検索・Googleマップ上の宿名、住所、電話、公式URL、ホテル予約リンクを点検する具体的な手順は、宿のGoogleビジネスプロフィールを整える方法で説明しています。
媒体ごとに項目名が違う
「添い寝」「食事・寝具なし」「幼児」「未就学児」のように、同じ条件でも入力欄や名称が異なります。文章をそのままコピーすると意味が変わる場合があります。
自動連携の範囲を誤解する
在庫と料金は連携しても、写真、設備説明、キャンセル規定、送迎は手動更新という構成があります。どこまで同期されるかを契約名と機能単位で確認します。
古いプランや複製が残る
前年のプランを複製すると、古い食事時間、終了した特典、以前の猫情報が引き継がれます。販売停止にしても、説明文や画像が別ページに残ることがあります。
最初に「正本」を項目ごとに決める
正本とは、迷ったときに「この内容が現在の正式情報」と判断する場所です。
| 情報 | 正本の例 | 理由 |
|---|---|---|
| 空室・部屋止め | PMSまたはサイトコントローラー | 販売可否を一元判断するため |
| 料金・販売プラン | 料金管理システムまたは予約システム | 販売開始前に確定するため |
| 客室・設備 | 施設台帳 | 予約媒体に左右されないため |
| 食事・子ども条件 | 宿泊商品台帳 | 料理・寝具・年齢条件を一組で管理するため |
| キャンセル・支払い | 承認済み規約台帳 | 契約条件の変更履歴を残すため |
| アクセス・送迎 | アクセス台帳 | 運行条件と案内先を管理するため |
| 看板猫 | 在籍・生活状況の確認表 | 猫の体調と生活を優先するため |
| 写真 | 許諾・撮影日付き写真台帳 | 古い設備と権利不明画像を避けるため |
一つの巨大な表にすべてを詰め込まなくても構いません。ただし、各項目の正本、担当者、更新日が分かるようにします。
媒体一覧を作る
まず宿の情報が掲載されている場所を洗い出します。
- 公式サイトのトップ、客室、料金、食事、アクセス、FAQ
- 公式予約システム
- 契約中の各OTA
- Googleビジネスプロフィール
- Instagram、Facebook、X、LINEなど
- 観光協会・自治体・地域ポータル
- 古いPDF、パンフレット、予約確認メール
- 制作会社が管理する別ページ
契約を終了したOTAや古いURLも検索し、予約可能に見えるページが残っていないか確認します。宿側で削除できない場合は、運営会社へ修正・非公開を依頼した記録を残します。
最初に照合する12項目
1. 宿名・住所・連絡先
- 現在の正式名称と読み方
- 郵便番号、住所、地図の地点
- 電話番号と受付時間
- 問い合わせ先
- 運営者名を表示する必要がある箇所
移転や名称変更後は、古い名称を検索した人にも現在の宿だと分かる案内を用意します。
2. 客室名と部屋タイプ
公式サイトの「和室8畳」とOTAの「スタンダード和室」が同じ部屋なら、対応表を作ります。
内部客室コード:R01
正式名称:庭側和室8畳
公式予約:庭側和室
OTA A:スタンダード和室
OTA B:和室8畳・禁煙
媒体上の名称を完全に同じにできなくても、同じ客室だと担当者が判断できる内部コードを共通にします。
3. 定員、寝具、子ども
- 最小・最大人数
- 大人と子どもの定員への数え方
- ベッド・布団・添い寝
- 子どもの年齢区分
- 食事・寝具の組み合わせ
- 乳幼児施設使用料
OTAごとに子どもの入力区分が異なるため、表面上の項目名だけで判断せず、予約テストで料金と在庫を確認します。
4. 食事
- 素泊まり、朝食、夕食の有無
- 食事会場、部屋食、時間
- 料理内容の変更可能性
- アレルギー相談の期限と対応範囲
- 子ども料理
- 飲料や追加注文
写真だけが豪華な夕食付きで、販売プランは素泊まりという見せ方になっていないか確認します。
5. 料金と表示単位
- 一人あたりか、一室あたりか
- 一泊か、滞在全体か
- 税込・税別
- 食事を含むか
- 入湯税、宿泊税、清掃費など
- 現地追加料金
- 会員・公式限定・連泊割引の条件
公式サイトとOTAで価格が違うこと自体が、常に誤りとは限りません。特典、販売条件、在庫、キャンセル条件が違う場合があります。単純に金額だけを揃えず、何を含む同じ商品かを確認します。
6. 販売期間・宿泊期間
「予約できる期間」と「実際に泊まれる期間」を分けます。
- 販売開始・終了日時
- 対象宿泊日
- 除外日
- 最低・最大泊数
- 予約締切
- 当日予約
前年プランを複製した場合、曜日、祝日、季節名、年号も読み直します。
7. キャンセル・変更・支払い
観光庁のオンライン旅行取引ガイドラインでは、申込完了前から旅行代金・支払方法、キャンセル料の発生時期と金額、請求主体、支払・払戻方法などを適切に表示することが求められています。
- 無料キャンセル期限
- 日ごとのキャンセル料
- 無断不泊
- 日程・人数・食事変更の方法
- 現地払い・事前決済
- 返金方法と日数
- OTA独自条件の有無
- どの予約経路へ連絡するか
公式予約とOTAで規定が異なる場合は、予約経路ごとの規定が適用されることを分かりやすく示します。
8. 設備・アメニティ
- 風呂・トイレが客室内か共用か
- Wi-Fi、冷暖房、テレビ、冷蔵庫
- 禁煙・喫煙
- タオル、歯ブラシ、寝間着
- 貸出品と有料品
- 階段、段差、エレベーター
- 改装・故障中の設備
設備アイコンにチェックを入れただけでなく、本文や写真と矛盾していないか見ます。
9. アクセス、駐車場、送迎
- 地図の地点
- 最寄り駅・バス停
- 駐車場の台数、料金、予約
- 送迎区間、時刻、予約期限
- 冬季通行、季節運休
- 最終チェックイン後の連絡
OTAの定型項目へ収まらない重要事項は、プラン注意事項や予約確認メールにも反映します。
10. ペットと看板猫
「猫がいる宿」と「飼い猫同伴可能な宿」は別の情報です。
- 看板猫が現在在籍しているか
- 会える可能性のある場所
- 客室へ来ることがあるか
- 休養や体調で会えない可能性
- 抱っこ、撮影、おやつのルール
- 宿泊者の同伴ペット可否、種類、対象客室、料金
- アレルギーや猫が苦手な人への案内
看板猫をプラン特典のように保証せず、猫の意思と体調を優先します。古い猫写真を現在の在籍案内として使い続けないでください。
休養、引退、新しい猫を迎えたときの告知文と更新先は、看板猫の在籍・休養・代替わりを案内する方法で詳しく整理しています。
11. 写真と説明文
- 改装前の客室写真が残っていない
- 写真と販売中の客室が対応している
- 食事写真のプラン・季節が分かる
- 画像の転載許諾がある
- 看板猫の名前・在籍状況が現在と一致する
- 写真の並び順が誤解を招かない
媒体ごとに写真を個別アップロードする場合、写真台帳に撮影日、対象客室、権利者、掲載先を記録します。
12. 予約確認メール
販売ページを直しても、自動メールが古いまま残ることがあります。
- 宿名、住所、電話番号
- チェックイン・アウト
- 食事時間
- 駐車場・送迎
- キャンセル・変更先
- 現地で必要な追加料金
- 古いURLや終了したサービス
テスト送信では実在する宿泊者情報を使わず、宿の管理するテスト用連絡先を使います。
変更時の更新順序
変更内容が決まったら、次の順で進めます。
- 変更内容、適用日、対象プランを人が承認する
- 正本台帳を更新する
- PMS・サイトコントローラー・予約システムを更新する
- 公式サイトと公式予約画面を更新する
- 各OTAの項目・説明・写真を更新する
- Google、SNS、地域ポータル、PDFを更新する
- 予約確認メールと館内案内を更新する
- PCとスマートフォンで各販売画面を確認する
- 架空条件で料金・在庫・キャンセル表示を照合する
- 更新日時、担当者、未反映先を記録する
一斉更新ができない場合は、販売開始前に更新期間を確保します。重大な食い違いがある媒体は、修正完了まで該当プランを停止する判断も必要です。
サイトコントローラーで確認すること
観光庁のIT活用事例集では、サイトコントローラーを、複数の予約サイトや自社ホームページの空室・予約状況をまとめ、各サイトの価格やプランを一括変更できる仕組みとして説明しています。
ただし、製品・契約・OTAごとに連携範囲は異なります。
- 在庫は双方向か
- 料金とプランはどこから配信するか
- 新規予約、変更、取消のどこまで取り込むか
- 子ども区分と追加料金を連携できるか
- 写真と説明文を配信できるか
- 連携失敗時に誰へ通知されるか
- 手動変更が次回同期で上書きされるか
- 停止中に行う代替手順
「連携済み」という言葉だけで判断せず、実際に使うOTA名と項目を指定して確認します。
日次・月次・季節ごとの照合
毎日
- 今日受けた電話・公式・OTA予約が正本にある
- 変更・取消後の在庫が戻っている
- 同期エラーや未処理通知がない
- 当日到着者の食事・送迎条件が予約内容と一致する
二重予約の防止手順は、電話・OTA・自社予約で二重予約を防ぐ運用で詳しく解説しています。
月1回
- 客室名、定員、設備
- 料金に含まれるもの
- 子ども・食事・キャンセル条件
- 写真、アクセス、連絡先
- 公式サイトと主要OTAの上位プラン
- 予約確認メール
季節・プラン切替時
- 販売日と宿泊対象日
- 食事・写真・季節名
- 送迎、交通、冬季条件
- 料金、税、追加費用
- 看板猫の現在案内
全プランを毎回同じ深さで見るのが難しい場合は、予約数の多いプラン、金額の高いプラン、条件が複雑なプランから確認します。
不一致管理表
確認日:
確認者:
項目:
正しい内容:
適用開始日:
公式サイト:一致/不一致/未確認
公式予約:一致/不一致/未確認
OTA A:一致/不一致/未確認
OTA B:一致/不一致/未確認
Google・SNS:一致/不一致/対象外
予約確認メール:一致/不一致/未確認
修正担当:
修正期限:
再確認日:
未反映の理由:
管理表へ宿泊者の氏名、予約番号、連絡先、決済情報をコピーしません。商品と公開情報だけを記録します。
AIへ照合を頼むプロンプト
宿の公式サイトとOTAの公開案内を比較してください。
今回は読み取りと報告だけにし、予約、変更、ログイン、送信は行わないでください。
正本として宿側が確認した情報:[内容]
公式サイト:[URL]
公式予約:[URL]
OTA:[公開URLを列挙]
次の項目を「一致」「不一致」「未確認」「対象外」に分けてください。
1. 宿名、住所、電話
2. 客室名、定員、寝具
3. 子ども、添い寝
4. 食事、アレルギー相談
5. 料金、税、追加費用
6. 販売期間、宿泊期間
7. キャンセル、変更、支払い、返金
8. 設備、アメニティ
9. アクセス、駐車場、送迎
10. ペット、看板猫
11. 写真と説明文
不一致は、各ページのURLと該当表現を短く示してください。
現在情報を推測せず、ログイン後にしか見えない項目は未確認にしてください。
料金は、同じ客室・日付・人数・食事・キャンセル条件かを確認してから比較してください。
最後に、宿泊者への影響が大きい順に修正候補を並べてください。
AIは公開ページの差を探せますが、OTAのログイン後設定や実際の正しい営業条件までは自動で判断できません。修正内容は宿側が承認します。
まとめ
OTAと公式サイトの案内を一致させるには、在庫同期だけでなく、客室、食事、子ども、料金、キャンセル、設備、アクセス、写真、看板猫を照合します。
情報ごとに正本と担当者を決め、変更時の更新順序を固定してください。金額が違うときは、同じ日付・人数だけでなく、食事、特典、税、キャンセル条件まで同じ商品かを確認します。
最初に公式サイト自体の更新項目を整理する場合は、宿泊施設サイトで最低限更新したい情報から始めてください。
参考資料
※OTA、サイトコントローラー、PMSの連携範囲や画面名称は契約ごとに異なります。契約先の現行資料と実際のテスト予約で確認してください。

