WordPress本体やテーマを更新した後に、メニューがずれる、写真が大きくなる、予約ボタンが隠れる、スマートフォンだけ横へはみ出す、といった表示崩れが起こることがあります。
問題は「更新ボタンを押したこと」だけではありません。更新前の正常な状態を残していないと、どこが、いつ、何によって変わったのか比較できないことです。
AIは、更新前後の画面やファイルを比較し、確認作業と原因の切り分けを支援できます。ただし、バックアップなしの更新、予約データを含む復元、テーマファイルへの場当たり的な上書きを、AIへ丸ごと任せてはいけません。
結論:更新前の「正常な見本」をAIへ渡す
安全な流れは次のとおりです。
- 更新する前に、対象と現在のバージョンを記録する
- ファイルとデータベースをバックアップし、戻し方を確認する
- 重要ページをパソコン・スマートフォン幅で撮影する
- 可能なら検証環境で、一つだけ更新する
- 同じURL・同じ画面幅で更新後を撮影する
- AIが画像、HTML、CSS、エラーを比較する
- 人が予約・問い合わせ・料金表示を確認する
- 合格なら次を更新し、問題があれば追加変更を止める
更新前の画面は、単なる記念写真ではありません。「この見た目が正しい」という合格基準です。
なぜWordPressやテーマの更新で崩れるのか
よくある原因は一つではありません。
| 原因 | 起こり得ること |
|---|---|
| テーマのHTML・CSS変更 | 見出し、メニュー、余白、画像サイズが変わる |
| 親テーマの直接編集 | 更新により独自修正が消える |
| プラグインとの組み合わせ | スライダー、フォーム、予約部品が表示されない |
| キャッシュ | 管理者と一般利用者で新旧の表示が混在する |
| PHP・JavaScriptのエラー | 一部機能やページ全体が動かない |
| 固定幅の指定 | パソコンは正常でもスマートフォンではみ出す |
| 更新の一括実行 | どの更新が原因か分からなくなる |
AIへ「崩れたから直して」とだけ頼むと、原因を確認せずCSSを追加し、一時的に隠すことがあります。先に変更履歴と再現条件を集める必要があります。
最初に選ぶ重要ページ
全ページを同じ優先度で確認する必要はありません。宿の予約に近いページから選びます。
- トップページ
- 客室・料金
- 宿泊プラン
- 予約案内と予約ボタン
- 問い合わせフォーム
- アクセス
- 看板猫の紹介
- よくある質問
- メニューを開いた状態
パソコン幅とスマートフォン幅で確認します。必要ならタブレット幅も加えます。URL、画面幅、撮影日時、ログイン状態を揃えないと、AIが無関係な差まで問題として挙げることがあります。
AIができる更新前の準備
バージョンと変更対象の一覧化
AIは、読み取り権限の範囲で次を整理できます。
- WordPress本体の現在版と更新候補
- 使用中の親テーマ・子テーマ
- 有効なプラグインと更新候補
- PHPのバージョン
- 独自CSS、子テーマ、追加JavaScriptの有無
- 予約、決済、問い合わせに影響する部品
更新候補があることと、本番へ適用してよいことは別です。更新内容、対応WordPress・PHP、提供元の案内を公式情報で確認します。
更新前の画面記録
ブラウザを操作できるAIやテストツールでは、URLと画面幅を指定してスクリーンショットを保存できます。たとえば次の組み合わせです。
| 端末想定 | 画面幅の例 | 主な確認点 |
|---|---|---|
| パソコン | 1440px | ヘッダー、横並び、サイドバー |
| 小型ノート・タブレット | 768px | 切り替わる途中の配置 |
| スマートフォン | 390px | メニュー、表、予約ボタン、横はみ出し |
数値は合否の共通条件にするための例です。実際の利用者が多い端末も人の目で確認してください。
機械的な状態の保存
画面だけでなく、次も更新前に記録すると原因を絞りやすくなります。
- 公開URLのHTTP応答
- ページタイトルと主要見出し
- 画像・CSS・JavaScriptの読み込み失敗
- ブラウザのエラー
- 予約・問い合わせ先URL
- サイトヘルスの重大問題
更新は一つずつ行う
WordPress本体、テーマ、プラグイン、PHPを同時に更新すると、崩れの原因を分けられません。
更新単位ごとに、次の小さな一周を繰り返します。
一つ更新
↓
キャッシュを整理
↓
同じURL・同じ画面幅で撮影
↓
画像・エラー・予約導線を比較
↓
合格なら次の更新へ
WordPress公式の更新手順も、更新前のバックアップを案内しています。テーマやプラグインの自動更新を使う場合も、重要機能まで無条件に自動化せず、バックアップ・通知・監視と組み合わせます。
AIに比較させると何が分かるか
画像の比較
- メニューや見出しの位置が変わった
- 写真の縦横比が崩れた
- 予約ボタンが隠れた
- 本文とサイドバーが重なった
- 余白や文字サイズが極端に変わった
- スマートフォンで横スクロールが発生した
画面差分の仕組みでは、基準画像と現在画像を比較できます。Playwrightの公式資料にも、スクリーンショットを保存し、後の実行結果と比較する方法があります。撮影するOS、ブラウザ、フォントなどが違うと差が出るため、同じ環境で比較します。
HTML・CSSの比較
画像で「どこが違うか」を見つけた後、AIは原因候補を調べられます。
- 消えた、または変わったCSSクラス
- 親テーマと子テーマの優先順位
- 固定幅、
overflow、positionなどの指定 - JavaScriptエラーで動かなくなった部品
- 読み込まれていないCSS・画像
- キャッシュに残る古いファイル
ただし、見た目が似るCSSを無制限に足すのではなく、原因となったテーマ変更と独自修正の関係を確認します。
崩れたときの切り分け順
- 追加更新と編集を止める
- 問題のURL、時刻、端末、画面幅を記録する
- シークレット画面や別端末でも再現するか確認する
- キャッシュを消す前と後を区別する
- ブラウザとサーバーのエラーを確認する
- 直前に更新した一項目を特定する
- テスト環境で無効化・旧版への切り戻しを検討する
- 本番復元が必要なら、バックアップ後の予約・問い合わせ差分を確認する
サイト全体で重大なエラーが起きた場合、WordPressには問題のあるテーマやプラグインの管理を助けるRecovery Modeがあります。ただし、メールが届かない、管理者権限がない、予約機能へ影響する場合は、宿主だけで強行せず保守担当者やサーバー会社へ連絡してください。
AIに任せやすいこと・人が判断すること
| AIに任せやすい | 人の確認・承認を残す |
|---|---|
| バージョンと更新候補の一覧 | 更新を実施する日時 |
| URL・HTTP・リンクの確認 | 料金・在庫・営業情報の正しさ |
| 更新前後のスクリーンショット | スマートフォン実機の使いやすさ |
| HTML・CSS・エラーの差分 | 予約・決済の確定操作 |
| 原因候補と修正案の比較 | 本番の復元と顧客データの扱い |
| 再確認と作業記録 | 制作会社・保守契約との責任分担 |
AIの「直りました」という報告だけで完了にしません。宿主自身が予約ボタン、電話番号、問い合わせ、料金、スマートフォン表示を確認します。
レンタルサーバーの場合
ロリポップ、さくらのレンタルサーバ、エックスサーバー、ConoHa WINGなどでは、サーバー会社のバックアップ、ステージング、復元、PHP切替機能を確認します。
AIへ管理画面のパスワードを貼らず、宿主が画面を操作しながら、AIには確認項目と判断材料を作らせる方法もあります。具体的な更新順序はレンタルサーバーでWordPressを安全に更新する方法を参照してください。
VPS・クラウドの場合
VPSではWordPressだけでなく、OS、Webサーバー、PHP、データベース、キャッシュ、コンテナも影響範囲に入ります。
- WordPress更新とPHP・OS更新を同日に重ねない
- 構成ファイルとデータベースを両方保存する
- 本番と検証環境を分ける
- AIへroot権限を無条件に渡さない
- 再起動や復元は人の承認後に行う
VPSでWordPressを運営する責任範囲とAIに本番サーバーを触らせるときの権限設計も先に確認してください。
コピペ用プロンプト1:まだ更新しないで調査する
宿のWordPress本体・テーマ・プラグインの更新を検討しています。
私はITに詳しくありません。まだ本番の更新や設定変更は実行しないでください。
読み取りだけで次を調べ、表にしてください。
- WordPress、PHP、使用中テーマ、子テーマ、有効プラグインの現在版
- 更新候補と、公式の対応条件・変更内容
- 客室、料金、予約、問い合わせへ影響する可能性
- 更新前に必要なファイル・データベースのバックアップ
- 復元方法と、復元で失われる可能性がある予約・問い合わせ
- 更新前後に比較する重要URLと画面幅
秘密情報や顧客情報は表示しないでください。
不明点は推測せず、更新実行前に私へ確認してください。
コピペ用プロンプト2:更新前後を比較する
承認済みの一つの更新について、更新前後の表示を比較してください。
条件:
- 同じURL、同じブラウザ、同じ画面幅で比較する
- パソコン1440px、タブレット768px、スマートフォン390px
- トップ、客室・料金、予約案内、問い合わせ、アクセスを確認する
- HTTP、画像、メニュー、見出し、横はみ出し、予約ボタン、ブラウザエラーを確認する
- 見た目の差を「問題」「意図した変更の可能性」「判断保留」に分ける
- 問題があっても、勝手に追加更新や復元を実行しない
最後に、変更対象、比較結果、未確認事項、人が確認するURLを報告してください。
コピペ用プロンプト3:表示が崩れた後に原因を調べる
WordPress更新後にサイト表示が崩れました。まだ修正・復元しないでください。
次の順番で読み取り調査してください。
1. 問題が起きるURL、端末、画面幅、発生時刻を整理
2. 直前に更新したWordPress・テーマ・プラグインを一つずつ整理
3. 更新前後のスクリーンショットとHTML・CSS・ブラウザエラーを比較
4. キャッシュ、テーマ、プラグイン、独自CSSの原因候補を根拠付きで順位付け
5. 修正、直前更新の切り戻し、バックアップ復元の選択肢を比較
6. 各案の影響範囲、戻し方、予約・問い合わせデータへの影響を示す
CSSを追加して見た目だけ隠す前に、原因を説明してください。
本番変更、更新、無効化、復元は私が承認するまで実行しないでください。
完了と判断するチェックリスト
- [ ] 更新した項目と旧版・新版を記録した
- [ ] 更新前後を同じ条件で比較した
- [ ] パソコン・スマートフォンで主要ページを確認した
- [ ] 予約、問い合わせ、電話、地図を確認した
- [ ] ブラウザとサーバーに新しい重大エラーがない
- [ ] キャッシュを整理した後も正常
- [ ] 未確認事項と人が確認した結果を記録した
- [ ] 問題時に使うバックアップと戻し方が分かる
まとめ
AIによる最大の支援は、更新ボタンを代わりに押すことではありません。更新前の正常状態を残し、更新後を同じ条件で比較し、問題が起きたときに変更を重ねず原因を絞ることです。
まずは重要な5ページを、パソコンとスマートフォンで保存するところから始められます。バックアップと復元はWordPress更新前のバックアップと復元、公開後の確認項目はHTTP・SEO・スマホ表示チェックリストで詳しく確認できます。
参考資料
- WordPress.org:WordPressの更新
- WordPress.org:プラグイン・テーマの自動更新
- WordPress.org:Recovery Mode
- WordPress開発者資料:Upgrading WordPress
- Playwright:Visual comparisons
※管理画面名、バックアップ、ステージング、復元、PHPの切替方法はサーバー会社と契約プランで異なります。契約先とテーマ・プラグイン提供元の最新手順を優先してください。

